いじめられる人の心理
いじめられる人の多くは、自分がいじめられている事を親や教師、たとえいじめに会っている人が大人であってもなかなか人には話しません。逆に自分を知らない人間が多い匿名の発言が可能なインターネットでは話す、というか書くことにそれほど抵抗がない人も多くいます。いじめられる人の多くは、自分がいじめられている事実を、周囲の人に知られたくないと考えてしまいます。隠してしまうことで、いじめが発覚することなくエスカレートしてしまうこともあるのですが、なぜいじめられる人は隠したがる人が多いのでしょう。
その理由は、「いじめられる人には理由がある」という認識が、世間一般で多く広まっているせいです。そのため、
●いじめられている自分を認めたくない、自分がいじめられなければいけない何らかの理由をもっているのだと認めたくはない。
●親に心配をかけたくない
●いじめられていることを恥じている
こうした心理状態が、いじめられていると口にできない理由として挙げられるでしょう。
もちろんいじめられる人よりも、いじめを行なう人のほうがよほど恥じ入るべきなのですが、いじめられてしまう人というのは必要以上に卑小になってしまうことがあります。
性格や環境によってはこの、「いじめられている状態」を我慢して周囲に隠してしまうことで、長期化してしまったり、いじめ行為がエスカレートしてしまったりすることも多々あります。
自分が悪いと考えてしまう、良い意味で優しい人というのはいじめのターゲットになってしまいやすいといえるでしょう。人の事を考えて自分の意思を殺してしまう人、これは今の日本社会では「みっともないこと」と考えられています。そして自分を貫き、自分の思うままに振る舞うことは、意思が強くしっかりと自分を持った人だと褒められ、周囲に認められるでしょう。いじめられる人にも問題がある、そういう人も確かにいます。ですがそれは間違いです。いじめる側の人間は、いじめの対象となる人を、「いじめやすい」という観点で選んでいます。「弱いものいじめ」という言葉がありますが、いじめはそのほとんどが「弱いものいじめ」です。といっても実際にいじめられる側が「弱いもの」であるという意味ではなく、いじめる側からは反撃されたり、逆に自分をいじめてきたりするとは考えていないという事です。優等生であったり、走るのが遅かったり、人より太っていたり、背が高い低い、そうした特徴のある人はいじめに合いやすくなっています。なぜなら、その他大勢とは違う、目立つ部分を持っているからです。いじめられる人の場合、そうした自分の特徴に対してコンプレックスを持っていることも多いため、自分にはいじめられる理由があると思い込んでしまう原因のひとつにもなっています。いじめを行なう人というのは、そうした人を自然と選んでターゲットに選んでしまうのです。
また、いじめにあっていると口にできない理由として、逆にいじめがエスカレートしてしまう心配があることもあります。いじめる人、いじめられる人という閉鎖的な人間関係から逸脱した行為を、いじめる側は、恥ずかしいことだと考えます。いじめる側の心理になってしまいますが、悪い事をしたとしても、それを「チクる」人間性そのものがいじめの原因になるのです。善悪の判断がつかない人というのは、自己中心的な正義感を持っているケースも多いのです。